高山病の予防薬、ダイアモックスとは

前回の高山病についての続きで、急性高山病の予防薬として知られている、ダイアモックス。短期の旅行者は特に購入を検討している人も多いのではないでしょうか。一体どんな薬なのか効果と副作用、一般的な服用方法についてまとめたいと思います。

ダイアモックスとは

ダイアモックス＝高山病の薬とされているのではなく、一般的に緑内障やてんかん、月経前緊張症、メニエール病に対して処方される薬剤です。日本では処方箋が必要な薬なので、医師の診察に基づいて購入することができます。また、保険診療の適応外であるため、全額自己負担となります。クリニックによっては処方してもらえないところもありますので、希望される方はあらかじめ確認してから受診されることをおすすめします。


　現地ペルーではドラッグストアなどで処方箋なく購入できます。しかし、薬の飲み合わせもあるので、持病のある方や他のお薬を服用している方は自己判断せず、医師の診察を受けて相談されるのが一番良いと思います。

効果と副作用

ダイアモックス（成分：アセタゾラミド）の効果として、脳の血管を拡げる働きがあります。脳の血管が拡張すると脳内の血流が増すため、高地で生じる脳内の低酸素状態が改善されます。また、ダイアモックスを服用すると、脳のセンサーが察知し呼吸中枢が刺激され、呼吸回数が増えるため、血液中の酸素量の増加が期待できます。
アセタゾラミドは硫黄を含む薬剤であるため、硫黄化合物にアレルギーの ある方は飲んではいけません。


副作用としては唇や手足のしびれがあります（低カリウム血症）が、改善されることが多いです。また、利尿作用があり頻尿や血圧低下を引き起こす可能性があります。降圧薬を内服している場合はその作用を強める可能性があります。
カリウムを多く含む食品（ドライフルーツ、アボガド、バナナ、キウイフルーツなど）を摂取することで低カリウム血症を防ぐことができます。

内服方法

高山病予防には、高地に到着する前日から到着3日後までの4日間、1/2錠(=125mg)を1日2回（12時間毎に）服用するのが標準です。（薬剤の規格　1錠＝250mg）
1日1錠、4日間で合計4錠服用することになります。


あくまでも高山病の初期症状を予防する程度であり、過信することは避けてください。

まとめ

●ダイアモックスは急性高山病の初期症状の軽減に効果が認められる薬
●ダイアモックスを服用したからといって絶対に高山病にかからないというわけではない
●ダイアモックス服用時は低カリウム血症予防のため、バナナやオレンジなどフルーツを摂取する
●日本で購入するには医師の診察・処方箋が必要ですべてのクリニックで処方してもらえるわけではない


私も「絶対買わなきゃ！」と思っていましたが、決して魔法の薬ではなく、かかる時はかかってしまうものです。どんな薬にも効果と副作用が伴いますし、それらを考慮したうえで選択されるのがよいと思います。前述しましたが、持病のある方や他の薬を服用している人は自己判断せず、医師へ相談されることをおすすめします。

参考文献：医療コラム