ペルーでの地震について
インカ文明の特徴の1つとして耐震性を備えた美しい石組みがあります。裏を返せばインカの人々は耐震性に優れた石組みを必要としていたとも言えます。それはペルーが環太平洋地震帯に位置し、日本と同じように地震・津波のリスクが高いということからきているのかもしれません。
地震
インカ時代
インカ帝国9代皇帝パチャクティの名はケチュア語で“大地を揺るがすもの”の意を指します。地震のメカニズムも解明されていない時代においては突然に地面が揺れ動き、人々が成す術のない現象は神の怒りととらえ驚異以外の何物でもなかったことでしょう。皇帝の名に、人々が畏怖の念を抱かざるを得ないような名前が用いられたのも地震との関連があるのかもしれません。海溝型地震
海溝型地震は大陸側プレートの下に潜り込もうとする海側プレートに引きずられ大陸側プレートが入り込み、大陸側プレートが跳ね返った時に発生する地震です。ペルーは海洋側のナスカプレートと大陸側の南米プレートと呼ばれる2つのプレートの上にあります。スマトラ沖地震や東日本大震災も同様に海溝型地震は周期的に繰り返すといわれています。下の地図の上左側に位置する日本は、フィリピン海プレートとユーラシアプレート、北アメリカプレート、太平洋プレートの4つのプレートから構成されています。
また、プレート同士が接しており互いに影響し得ることがわかります。
ペルーを襲った地震の歴史
以下にペルーでの主な地震をまとめました。
年
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場所
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規模
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備考
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1471年
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ペルー沖
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M8.0
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1513年
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ペルー沖
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Mw(モーメントマグニチュード)8.9
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1582年
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アキレバ沖
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M8.2
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1586年
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リマ沖
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Mw8.9
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リマで26mの高さの津波を観測。日本でも津波を観測。
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1600年2月
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ぺルー沖
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M8.2
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同月
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ペルー沖
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M8.0
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1604年
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アキレバ沖
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Mw8.6
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1619年
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トルヒーヨ沖
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M7.7
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1650年
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ペルー沖
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M8.3
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1655年
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ペルー沖
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Mw8.0-8.5
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1664年
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ペルー
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M7.3
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1678年
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ペルー沖
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M8.0
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1687年
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リマ・カヤオ沖
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Mw8.7
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1715年
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ペルー沖
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M8.0
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1716年2月
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ペルー
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Mw9.0
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同月
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ペルー
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Mw8.6
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1725年
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トルヒーヨ・アンカシュ
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Mw8.7
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1746年
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リマ・カヤオ沖
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Mw8.6
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1784年
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アキレバ沖
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M8.0
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1821年
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ペルー沖
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M8.2
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1868年
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ペルー、チリ北部沖
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Mw8.9-9.1
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日本に遠地津波の記録あり
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1913年
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ペルー
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M7.0
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1940年
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ペルー沖
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Mw8.2
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1942年
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ペルー・エクアドル沖
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M7.9
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1946年11月
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ペルー
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M7.3
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8月
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ペルー
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Mw8.2
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1966年
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ペルー沖
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Mw8.1
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1970年
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北部、アンカシュ
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M7.7
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プレート内の正断層型地震
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1974年
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ペルー沖
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Mw8.1
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2001年
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ペルー南部沖
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Mw8.4
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2007年
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イカ州沖
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Mw8.0
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★モーメントマグニチュードとは岩盤のずれの規模(ずれ動いた部分の面積×ずれた量×岩石の硬さ)をもとにして計算したマグニチュードです。物理的な意味が明確で、大きな地震に対しても有効です。
地震の年表から数年~40年置きに大地震が発生していることが読み取れ日本同様に地震大国であることが伺えます。これには小規模のものは含まれていませんし、資料の残っていない、もっと古く昔からこうした地震が繰り返されていることは容易に予測ができます。
日本からすると地球の反対側に位置するペルーですが、ペルー地震による津波が日本でも観測されていることからも、対岸の火事では済まされません。
日本の支援
1986年に日本・ペルー地震防災センター(CISMID)の設立を支援しています。2007年にイカ州沖で発生した大地震はマグニチュード8.0を記録しました。死者500人以上、8万棟を超える建物が倒壊・全壊し、甚大な被害がでました。特に貧困層で使われているアドベと呼ばれる日干し煉瓦の家は耐震性がありません。2010年から5年間にわたり、“ペルーにおける地震・津波減災技術の向上プロジェクト”と題し、技術支援が行われました。内容としては地震予測システムや耐震技術、災害ハザード、住民の防災意識についてです。2013年8月14日には首都リマに隣接するカヤオ市で一般市民も含め2,000人以上が参加した津波避難訓練が実施されました。
耐震性のない建物の中にいた方が危険な場合が多いため、ペルーで地震が起きた時は周りに建物のない広場や公園などへ避難することが一般的です。
参考:JICA独立行政法人 国際協力機構ホームページ
日本の支援活動によりペルーの地震による被害が少しでも減り、2次災害を防ぐことができればとても有意義なものになると思います。また、日本とペルーの友好な関係・協力体制を構築することは有事の際の迅速な対応や今後の研究につながるのではないかと思います。
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